世界遺産アフロディシアスは、トルコ西部のカラジャスにあり、大理石の輸出と彫刻家による美術品で富を築いた古代都市である。
近年まで遺跡とともに人が暮らしていたこともあり、そこには他の遺跡とは少し違った雰囲気がある。
今回は、そんなアフロディシアス観光を写真とともに振り返る。
- 他国の発掘から逃れて残った唯一の遺跡
- 出迎えてくれるのは無数の人顔
- アフロディシアスは荘厳な雰囲気を持つ自然とともにある遺跡
- 最も保存状態の良い古代競技場の巨大さに圧倒される
- 最後にアフロディシアス博物館を見学
- 最後に
他国の発掘から逃れて残った唯一の遺跡
19世紀に世界の富豪の間で流行った遺跡発掘。トルコ人は発掘に出遅れてしまい、例えば同じくトルコにあるペルガモン遺跡はドイツ人に発掘され、その素晴らしい遺物はドイツへ流出し、今もペルガモンには還ってきていない。
アフロディシアス遺跡では近年まで人が住んでいた。そのおかげもあり、まさかそんなところに遺跡がと気付かなかった他国からの発掘を逃れ切り、素晴らしい遺物を当時の場所のまま現在に残す。
そして、ここはトルコ人によって初めて発掘されたローマ遺跡となった。
遺跡の柱を利用して建てられた現代の建物。
遺跡の一部をベンチ代りに使う住民。
遺跡の一部を使って作業する住民。確か水溜めに使っていたという説明だったかな。うる覚えだ。
現在は遺跡には住民はおらず、近くに空き家を残すばかりだ。
出迎えてくれるのは無数の人顔
遺跡まで連れて行ってくれるのはこの乗り物。ここから遺跡までの道のりは足場が悪いためか、バスからこの乗り物に乗り換える。
おおよそ1kmくらいガタガタと揺られる。
乗り物から降りると、まずは雑多に置かれた遺物の数々に驚く。
他の遺跡のように他の場所へ流出していないためか、置くところがなかったのか?と思うくらい、その辺りに適当に置かれている印象。少なくとも”飾られて”はいない気がする。
写真奥の建物は博物館だが、たくさんの美術品が入りきらなかったことが見て窺える。博物館への見学は最後にする。
博物館を通り過ぎると、無数の人顔に出迎えられる。元は一つ一つが柱の上の飾りだったそうだが、現在はここ一箇所に集めて置かれている。
実際にかつてを生きた人たちを模しているらしい。自分の顔が街の飾りになっているなんてなかなか。。。
もちろん一人一人顔が異なる。男性もいれば女性も、お年寄りも若い人もいる。子供はいなかったかな。
無数にありすぎて自分と似た顔が必ずあると言われているが、さすがに日本人に似た顔は探すの方が難しかった。
アフロディシアスは荘厳な雰囲気を持つ自然とともにある遺跡
まず初めに目に入るのは、緑の中の列柱。ここはあまり発掘・復元が進んでいない?そんなに目立ったものはなかった。
遺跡のすぐ近くには、空き家らしき近代の建物が本当にある。
空き家を抜けると、自然の中に忽然と現れるアフロディシアスの街のゲートウェイ。
アフロディシアスの前に観光したエフェソスは復元も進んでいて華やかで人気の観光地という感じだったが、ここアフロディシアスはとってもマイナーな雰囲気。他の観光客はほとんどいなかった。だけど、もちろんそれが良くて、静かで厳かな雰囲気が自然の中の遺跡をよりはっきりさせていて、とっても素敵だった。
エフェソス観光の記事はこちらからご覧いただける。
先ほどのゲートウェイを街側から撮影。ここは、つまりは街の出入り口、門だ。通称はテトラピオン。
季節は1月だが、背後の山々を覆った雪と澄んだ青空に冬の少し元気のない草原の色が似合う。雰囲気が伝わるだろうか。私はこの景色だけで、その荘厳さに心を奪われうっとりしたものだ。好き。
テトラピオン門を過ぎると、巨大なアフロディーテ神殿が見えてくる。
アフロディーテ神殿は、ギリシャ神話に出てくる愛と美と性の女神アフロディーテを祀った神殿で、紀元前3世紀に建てられた。
神殿の内側から撮った写真。いくつかの列柱のみ残る。
神殿の周辺の都市は紀元前2世紀に築かれた。写真には大きな壺が写る。他の遺跡でもそうだったが、壺はその姿をほとんど地面に隠している。元から埋めていたのか、まだ埋まったままなだけか。
小劇場。トルコで見た円形劇場の中で一番小さいかも。
小さいからこそ気付いた背もたれと肘置きのある椅子。他の円形劇場にもあったのだろうか。
階段の飾りはライオンの脚か。エフェソスの劇場も同じようなデザインだった。
小さくてもなぜだか恍惚な気持ちが離れない。冬の澄んだ空気のせいもあるかもしれない。好き。
最も保存状態の良い古代競技場の巨大さに圧倒される
59x262mの大きさの楕円の競技場。3万人を収容できた。あまりに大きすぎてカメラに収めきれない。短い方の幅で50m走が余裕でできる。
オリジナルの客席が残る。古代の競技場の中でこの競技場は最も保存状態が良いらしい。
手前はステージの跡だろうか。
ここでは、レスリングや剣闘士の戦いが行われたそう。広すぎて奥の方なんかでは何が行われているか見えそうにない。
最後にアフロディシアス博物館を見学
博物館では多くの彫刻品が展示されている。近くの採掘場で採った大理石を使って彫刻家たちが彫った作品集だ。
あまり興味がなかったので文章が適当なのはご愛嬌。
牛かな、馬かな。やっと人の顔以外の彫刻を発見。随分格好良い。さすが美術の街。彫刻家の腕が良い。
ライオンも格好良い。こんな穏やかな顔をしたライオンの彫刻はあまり見られない気がする。
めちゃくちゃ綺麗に残っている彫像。
なんか見たことあるような彫刻。
ペガサスじゃん。
ちなみに以前調べたことがあるが、この時代の彫刻で男性のあそこが小さく描かれているのは、知性を表しているそう。大きいと頭悪そう、そういうことらしい。
これも裸だな。。。服の流動の表現がすごい。
とても精巧。子沢山。
突然の刃物が刺さった頭蓋骨。
人の頭部を持つ女性。さっきから何やら物騒が続く。
もしかしたら持っているのは人の頭部ではなくて仮面?
なんか飛び出している人たち。怖い。
博物館を出て向かいには、冒頭に載せたモノクロ写真で見たベンチ、もとい遺跡の一部が。(博物館で下がったテンションが少し上がった。)
写真左奥の建物にはカフェとお土産屋さんがある。
最後に
アフロディシアスは、紀元前2世紀から6世紀まで長きに渡り栄えた場所。古代ギリシャ・ローマ時代において、ここは最も壮大な都市のひとつと言われているが、現在は発掘作業があまり進んでおらず、そのほとんどはまだ土砂の下に眠っているのだろう。
競技場の大きさから相当大規模な都市だったことは窺えるが、現在確認できるものは多くない。
しかし、その雰囲気は言葉で表せないがとても良く、観光スポットが少ないにも関わらず、来てよかったと思わせてくれた。今後もっと観光客が増える観光地となるだろう。